2011夏 東北の旅 『黒崎灯台・鵜の巣断崖・潮吹穴・浄土ヶ浜島めぐり・大津波記念碑』編

朝5時30分過ぎに起床。コーヒーなどを飲みつつ、のんびり過ごしまして…撤収作業を終えて朝7時ちょい前に出発。

今日の目的地はあんまりはっきりとは決まっていないんだが…岩手県宮古市にある、本州最東端に位置する「トドヶ埼灯台」に行ってみようかなぁと思ってる。遊歩道を1時間ほど歩かないと辿り着けないらしく、そこまでして灯台を見に行った事は今まで無いので、多分未踏の地。灯台に関してはとにかく行きまくっている為、どこに行ってどこに行っていないのかが個人的に何が何やら分からなくなっているってのが正直な所(汗)

アップダウンの激しい国道45号をひたすら南下。昨日買い物をした時にも感じたが、久慈市の市街地(郊外型の店舗が多い場所)は特に津波の被害を受けてはいないようで何よりだ。石油備蓄基地のタンクが流されたり、押し寄せる津波の映像を何度も見ていたから心配だったよ。

ただ、三陸鉄道と国道45号が並行して走る海に面したエリアの被害は大きい。今回津波という形で押し寄せた、自然の力の大きさをまざまざと見せつける光景が広がっている。

途中、黒崎灯台に立ち寄った。ちょっとした公園の敷地の一部のような場所にあります。標高130メートルの断崖の突端に立つ灯台なので、灯台本体は結構小さめで可愛らしい程。東京の小金井からいらしたチャリダー(輪行で八戸から走って来たそうだ)のおじさんと、今回の震災やらなんやかんやで少々お話をしたりしつつ、さらに南下。

看板に誘われてやってきた「鵜の巣断崖」。駐車場から展望台まで300メートルほどあるんだが、整備された遊歩道がウッドチップで出来ていて、歩くとフカフカしていて気持ちが良い。木陰なので風も気持ちいいしね。

天気が良すぎてやたらと暑いので「道の駅 たろう」でちと休憩。「果肉入りいちごソフトクリーム」が旨い。バニラの部分が黄色っぽくて結構独特。道の駅の駐車場は関東ナンバーの車だらけだ。みんな帰省なのかな?

この道の駅を出た後は、道の駅の名前にもなっている「田老地区」へと入っていく。見上げるような立派な堤防の内側には、無惨な光景が広がっている。

下から見上げると十分に高く見える堤防の高さはしかし、国道沿いに掲げられた「最大津波到達予想地点」には遙かに及ばない。この高さまで堤防を築くのは現実的な選択では無いであろう事も理解は出来る。かといってここより上に住むという事にするのであれば…それはもはや今までの集落とは似ても似つかぬものになるのだろう。難しいな…本当に。

住宅の基礎部分だけが残る一帯に、寂しく佇むバス停があった。バス停の足下には、誰かが置いたプランターの花壇。土気色の単調な空間に突如現れた小さな色彩に目を奪われる。実は写真を撮ろうかと思って一度停まったんだが…やめた。

潮吹穴という看板が気になりやって来た。ちょっとした断崖の階段を下りていくと展望台があり、上から潮吹穴を見ることが出来る…のだが、海が穏やかなため全く潮を吹かないので、結局どれが潮吹穴なのか分からずじまいに終わった(汗)この潮吹穴、吹かないことの方が多いため、地元では「ホラ吹き穴」とも呼ばれているらしい(笑)

宮古市の市街地に入る直前、市街地の北側に位置する浄土ヶ浜へやってきた。駐車場にバイクを駐めてヘルメットを脱いでとやっていると、何やら「浄土ヶ浜島めぐり」なる遊覧船の運行案内をしているではないか。12時ちょうどに出港らしいので乗り込んだ。

(注)通常の桟橋が破損していて使えないため遊歩道を歩いて浄土ヶ浜まで降り、裏側の桟橋からの出港になってました。

観光遊覧船という事で、景色の解説をして下さるガイドさんも乗船してます。

ガイドさんの解説と共に出港しますが、しばらくの間は「ウミネコのエサ」をウミネコにあげるのにみんな精一杯ってな感じだなぁ(笑)それにしても風光明媚な場所ですな。

この観光船「潮吹穴」のすぐそばにも行きますので、運が良ければそのダイナミックな光景が見られるかもです。ガイドさんが言うには、「台風の翌日に来るといいですよ!」との事でした。そりゃまぁ豪快な潮吹きは見られるでしょうが、観光船が滅茶滅茶揺れそうだぁね…(汗)

皆さんウミネコにエサをあげ終えて、ちょっと落ち着いてきたた遊覧船。帰り道ではガイドさんから震災の当日のお話がありました。今我々の乗っているこの遊覧船、地震を感じた船長さん達がすぐに沖合に避難したから無事だったそうです。また、壊れてしまっている堤防の話や、陸のどこまで津波が押し寄せたかなど。それから地図を指さしながら「トドヶ埼」の近くにある姉吉地区で最大の津波が観測されたこと、そしてその地区の石碑に刻まれた先代からの教えを守ってきた事で、今回の津波による住居の被害が無かった事の紹介など。

「トドヶ埼」かぁ。時間的に今日行くのは無理そうな気がしてきたなぁ(汗)

そうそう、7月16日から「浄土ヶ浜島めぐり」は元気に運行再開していることを宣伝して下さいとの事だったので微力ながら御紹介を。ってかこの記事自体がすでに紹介か(笑)ウミネコと巡る40分間の遊覧船のHPはこちら「浄土ヶ浜島めぐり」です。

船を降りた後は浄土ヶ浜を堪能しましてバイクに戻ったんですが…

暑い…暑すぎる…トドヶ埼は明日にしよう…(逃)

あまりの暑さに完全にやる気を失いまして、取りあえず昼飯を食べようと宮古駅前にやってきた。「魚鮮亭 すみよし」というお店が目にとまったので入店。

   

マグロの中落ち丼は売り切れだったので、焼き魚定食(鯖塩)を注文。何となく焼き魚を食べるのは久々な気がするな。鯖も旨かったが、磯のりのたっぷり入った味噌汁も旨かった。やっぱりこういう定食が一番落ち着くやぁね。ご馳走様でした!

十分涼んだところで出発なんですが…明日トドヶ埼に行くとなると今日の行動範囲が狭くなるなぁ…それに明日も何だか暑そうだぜ?往復3時間歩くんだったら…涼しい季節の方がいいんじゃないのか?

よ~っしゃ決めたっ!トドヶ埼は秋にしよう!(更に逃)

宮古市内の海沿いは、相当数の信号機が点灯していない。信号制御用の箱が見あたらないので、一旦取り外して修理しているのだろうか。それとも流されてしまったのか。市内を抜けた後、灯台まで歩くのは秋にするにしてもスタート地点の下見くらいはしておこうと県道41号でトドヶ埼方面へ向かう。

高台から急激に下る道を進むと入り江のような空間が。一体この空間にはかつて何があったのかが全く想像できない程の荒廃した空間が広がっていて、堤防の一部と思われる巨大なコンクリート製の構造物がおかしな角度でひとつ転がっている。道路が寸断されてしまっているが、よく見ると応急処置的に砂利を敷いて道が作ってあり、小さな岸壁の様な場所にバイクを停めた。波のない穏やかな小さな湾の中では、地元の子供達がカヌーで遊んでいる。

ふと見ると、真新しい小さな看板に「トドヶ埼灯台」の文字が。看板の指す先を見ると…確かに階段らしきものが山の斜面を登っている。新しい看板があるという事は…灯台まで行けるという事なんだろう。そう言えばトドヶ埼灯台へはキャンプ場から歩いて行くんだったよなぁ。影も形も無くなっているが…

…そう言えば、遊覧船のガイドさんが言っていた姉吉地区ってのは…もしかしてさっき通ってきた集落の事なのか。

トドヶ埼灯台へ向け再びやって来ることを心に誓って急な坂道を登っていくと、津波の被害が周囲から消えた頃合いで「大津波記念碑」が道の脇にひっそりと建っていた。

これは…

実は先日読んだ「失敗学のすすめ」で、教訓が風化し伝わらなくなる例として、他の地域の「大津波記念碑」とその下に建てられた民家の写真があった。この姉吉地区はそうではなく、この碑の教えを守ったという事か。

高き住居は児孫に和楽

想え惨禍の大津波

此処より下に家を建てるな

この碑の教えを守ってきた姉吉地区の住民は、この碑によって守られた。

この後も海岸沿いを南下を続け、山田町を通って大槌町のローソンでちと休憩。近場に営業しているスーパー等が無いためか、お客さんの人数がとても多い。そして店の外のベンチでゼリーを食べていて気がついたんだが、ニュースで聞いたとおり確かにハエが多い。困った問題だ。ローソンを出発して釜石市内へ。釜石は大きな街並み故、昔ながらの商店街があったりするんだが…やはりこちらも海沿いは被害が大きい。それから宮古市内同様、消えたまんまの信号機が沢山ある。

そろそろ今夜の寝床をどうするか考えなければならないんだが…そうだなぁ…国道283号を西に走って、GWに泊まった「道の駅 とうわ」に泊まっちまうかぁ?風呂付きだしね。

相変わらずの適当さで国道45号に別れを告げ、国道283号を走っていたら何と銭湯を発見!街道沿いにあるなんて、珍しい立地の銭湯だ。

ひとっ風呂頂いて店の前で涼んでいたところ、銭湯の店主っぽい方から声を掛けられた。この方何気に物知りでして茨城県日立市からやって来た事を伝えると「昭和40年代に地方交付税の不交付団体だったのはここ釜石市と日立市だけだったんだよ」とか、「そこに線路があるだろ。この路線は日本で2番目に開業した鉄道で、弁慶号っていう汽車が走ってたんだよ。」等々。そう言えば、弁慶号ってこの前鉄道博物館で見たよ。なるほど、ここを走ってたのか。

こんな感じに楽しいひとときを過ごした後は、ひたすら西に向かって突っ走る。走りながらふと思った。もしかして「マース北上」ってこの先にあるんじゃないのか?だったらそっちにするかな。今日は生ビールが飲みたいし。

今夜は健康ランド「マース北上」に泊まる事にしてひたすら走り…着きました。深夜料金込み&夜食と朝食がついて2600円とかなり良心的な値段設定。

   

夜食はおやつ程度のものだったが、朝飯バイキングはお好み次第でいくらでも量を増やせます(笑)

それでは今日のGPSログを。