梅雨明け最初のキャンプツーリング ~国道45号から青葉城へ編~

気仙沼でポーチを手に入れた後、次に目指すは登米市の「油麩丼」である。大ぶりなお麩をかつ丼チックに卵でとじたものらしく、是非一度食べてみたいと昔から思っていた。

気仙沼市と登米市の位置関係は、気仙沼から南西方向に60キロほどの位置に登米市の中心があるんだが、ちょっと面白いのはどちらの市も岩手県との県境の市と言う事だな。宮城県の中では気仙沼市が北側に出っ張っていて、登米市は南側に引っ込んでいるのでちょっと変わった県境になっている。

国道45号を南下していく。気仙沼線の線路と併走し始めるあたりから、海抜の低い海岸近くとなる。大型車両が行き交っているのと砂ぼこりが凄まじい以外、道路自体は特に問題ない状況。ただやはり、基礎部分を残して家が根こそぎ無くなっている一帯があったり、押しつぶされた自動車が無造作に放置されている光景は普通ではない。何とか流されずに歪んで残った鉄筋コンクリートの建物と、突き抜ける青空とのコントラストの差が激しすぎる。

内陸へ向かう国道346号との交差点に「↑南三陸」「→登米」の標識が。予定通り登米市へ向かうのであれば、ここを右折すれば登米市の市街地まで一直線ではあるんだが…このまま国道45号を南下して、国道398号経由でも行けるなぁ。特に交通量が多いわけでも無いから海沿い走っても邪魔では無さそうだし…このまま南下だな。

気仙沼市から南三陸町に入ると、何というか静けさすら感じるようになってきた。時折見かける復旧工事の関係者とその車両だけが行き交う町。

南三陸町の中心部の国道398号との交差点で「↑石巻」「→登米」の標識が。ここを右折すれば内陸の登米方面なのだが…う~ん…「油麩丼」は次回にすっかな。登米の皆様スミマセン。必ず食べに行きますんでもう少々お時間を。

ほとんどの車が国道398号方面に右折していったので南三陸町の南側の国道45号はガラガラ。対向車もほとんどいない。走るという事だけに集中できるロボットみたいな奴にとっては、もしかすると快適な場所かもしれないな。むろんそんな奴がこの世にいるとは思えんが。近くを走る鉄道・気仙沼線の被害も尋常ではなく、高架になっている部分ですら高架橋ごと至る所で寸断されてしまっている。

こうした現状はTVのニュースで何度も目にしていたはずなのに、はじめて見る光景としか思えないのは何故なんだろう。もしかすると人間の想像力には限界があって、自分で今まで目にしたり体験したりした事を少々膨らませる事しか出来ないってことなのか?だとしたら…自分の目で見ないと気が済まないミーハーな性格も、少しは自分の為になっているのかもしれないな。

それから今回、この一帯の復興の難しさを痛感した。単に元通りにするなんて事はもちろん出来ないだろう。それぞれの街の実情に即したグランドデザインが必要であり、同時に今日明日の生活を支える短期的な視点に立った策も必要だ。残念ながらそういう知識も経験も持ち合わせていないので直接力になる事は、俺には出来そうもないけれど。

この後、国道45号は内陸側に進路をとりまして北上川沿いを進んでいき、石巻市内でちと休憩。かつて「サインオフお疲れ様旅行」と称して4日ほど休みを取って仙台・石巻を歩き回ったことがある懐かしい地だったりするんだよな。石ノ森萬画館があったりするので、街中サイボーグ009やロボコンの像があるんだよね。

少々話が脱線するが、俺は名前を知らない自分好みの女性を見つけると「フランソワーズ」とあだ名を付ける習慣がある。もちろんサイボーグ009の「003」由来のあだ名だ。ま、ほとんどの場合「フランソワーズ」のまま俺の人生から消えていく事になるんだが(涙)

話を元に戻しまして、石巻も低地の平野部分が多い関係で被害が大きい。先の石ノ森萬画館も再開を目指して復旧作業中。東松島市を抜けて松島へ。今回は通りがかっただけではあるが、夏休みに入った事もあってかこの前訪れたときよりも客足が戻っている印象ですな。外国人観光客もちらほら見かけた。

国道45号を走り続けて仙台市内入りしたんだが、仙台市内ってこんなに渋滞するんだっけか?良く考えたらバイクで仙台に来た事なんてほとんど無いのかも。電車と地下鉄で移動するのが幸せな街だなこりゃ。明日からの仙台七夕祭りの準備が整っているようで、一日違いで参加できない俺としては少し残念。(母からメールが来たんだが、8/6に友達と一緒に松島と仙台に行ってくるとあった。羨ましい反面、渋滞が凄そうだ。どうだったのか今度聞いてみよう。)

青葉城(仙台城)へ向かう道路の石垣が崩れた影響で迂回路を走ることになるんだが、思いっきり東北大学のキャンパスのど真ん中を走るような形になるのがちょっと得した気分かな。青葉城の駐車場(バイクは1日100円)にバイクを駐めて見物開始。ここ青葉城に来るのは初めてでして、今回来ようと思ったきっかけは会津若松の鶴ヶ城に行った時に、荒城の月の詞のモデルになったのが鶴ヶ城と青葉城だって事を知ったからだったりする。

荒城の月の詩碑と土井晩翠の銅像です。こうなってくると、鶴ヶ城と青葉城の詩碑を紹介した記事はあるのに、俺の生まれた大分県竹田市の岡城址の紹介文が無い状態のままにはしておけないなぁ。

それにしても、青葉城からの仙台市内の眺望は素晴らしい。ちょうどこの日は花火大会があるとのことで、浴衣姿の方やちょっとした場所取りが行われてました。天気がもつといいですね。

そして、ようやく冒頭の写真。ここ青葉城に悠然と立つ伊達政宗の銅像。どうやら普通に写真を撮りたければ、午前中に来なければならない模様。浴衣のカップルが通りすがりの方に記念写真を撮ってもらいながら少々ぼやいていたよ(笑)俺の場合は記念写真では無いので、無理矢理シルエットの写真に仕立て上げました。伊達男は逆光の中でも輝いている。

   

青葉城では「ずんだづくし」なおやつタイム。菓匠三全というお店の、もはやファーストフード的な定番「ずんだシェイク」に、移動販売のクレープ屋さんで買った「ずんだ生クリームクレープ」。どちらもずんだならではの濃厚な甘さと舌触りを楽しめる一品です。確か大丸東京店にも系列店があるんだけど、何故か「ずんだシェイク」が無かったんだよなぁ。今ではあるのかな?

こんな感じに過ごした仙台、そろそろ夕方と呼ぶ時間帯になってきたので退散のお時間です。高速道路で南下を開始。

梅雨明け最初のキャンプツーリング ~気仙沼 GANBAARE ギャラリー「縁」編~

猊鼻渓の舟下りを堪能した後は、GANBAAREなる会社の「気仙沼帆布」製品を求めて気仙沼へ移動開始。GWに東北を巡った時に太平洋沿岸部に全く近づかなかったのは、不要不急の車は通行を自粛しろと道路の電光掲示板に出ていたからというだけでなく、自分自身、心情的に行きたくないと感じていた事が大きい。遠慮したと言うよりは…逃げたと言ったほうが正確なのかもしれないな。

そして6月に気仙沼帆布を扱うギャラリー「縁」が開店したというニュースを見た。金・土・日だけの開店で、現時点ではインターネット通販には対応していない(職人さんのキャパが限界っぽい)など、要するに「行かなきゃ買えない」ってな話を耳にした瞬間に、俺は心に誓ったのである。

「ぜって~行く。何としてでも行く。」(誓)

そして今日、青空が広がり始めた爽快な国道284号を、ついに俺は気仙沼に向けて東進している。「限定品が欲しい」とかいうそれっぽい理由を引っさげて。

国道284号にもそれなりに大型ダンプ等が走っていたが、国道45号は資材を積んだトラックや重機を運んでいるトレーラーだらけの状態に。それと道路上の砂ぼこりが酷い。沿岸の海沿いは海霧で隠されていて見えないなぁ…もしかして…隠してくれてるのか?

目的地のギャラリー「縁」の住所はメモっていたので、最終的に携帯電話のナビタイムで探せばいいやと高をくくっていたのだが…どういう訳だか携帯電話のGPSが衛星を補足できず、おまけに番地の入力が出来ないエリアらしくてナビタイム上の地図では大雑把な場所しか表示されないではないか…(涙)

そんなわけで、おおよその場所は国道45号のセブンイレブンのある交差点から少し路地に入った場所っぽいので、ギャラリー「縁」を求めてローラー作戦開始。

30分程住宅街を探しまくったが結局見つけられず。一度スタートラインに戻ってjigブラウザでお店のホームページの地図を確認しようと最初に曲がったセブンイレブンのある交差点に戻ってきたら、この交差点にギャラリー「縁」があった…

最初に店の前を思いっきり通ってんじゃねぇかっ!(アホ)

やっとの思いで辿り着いたギャラリー「縁」、3名ほどの方がカウンター席でコーヒーを飲んでいて、小上がりの上ではご夫婦二人が作品の品定め中。しばらく小上がりに上がるのを遠慮して待っていた。

しばらく待っているとどうやら買う物が決まったらしく、ご夫婦が店員さんに一言。「このデザインの、10個在庫あります?」

えっ…気仙沼バッグを10個も買っちゃうの!?(驚)

会話の流れからして、どうやら親戚中に配るつもりらしい。入れ替わりで俺が品定めしている時にももう一家族やってきて、あっという間に小さなギャラリーが人で埋まってしまった。

長居が出来る状態ではなかったので、工具入れにちょうど良さそうな気仙沼の文字入りポーチをお買い上げ。会計しつつ、お忙しい中アイスコーヒーを頂いてしまったりなんかしてる間にもお客さん到着。それにしても大人気のお店だね。

気仙沼の皆さんの復興の歩みが、小さくとも確実なものになりますようにお祈り申し上げます。

お店の詳しい情報は公式HP「GANBAARE株式会社」をご参照下さい。8/5時点の情報で、金・土・日 11:00~16:00の営業です。ネット販売は今のところやってません。

えっ?欲しくなった? だったら気仙沼に行ってこいっ!

プチ東北ツーリング2日目 『山形県舟形町→奥州善光寺→松島→福島原発迂回→日立』

今回お世話になった「ゲリラキャンプ場」の紹介をしたい所ではあるが…写真が無いので断念(汗)ツイッターへの投稿でμSDカードへ保存されていると思っていたんだが…そうでは無く、投稿後の画像はさすがにブログには使えそうもない状況だったので断念。

そんな訳で小雨混じりだった「山形県舟形町」の川辺の公園は…再度行った時に再撮影予定です(笑)

雨に降られ続ける天候の下、国道47号を山形県から宮城県へ。上の写真は「山形県と宮城県」の県境でして、この国道は別名「奥の細道湯けむりライン」と呼ばれる陸羽東線と平行して走る事の出来る爽快路。

宮城県側へ入るとそこは温泉エリア。GWに一っ風呂頂いた川渡温泉のある、鳴子温泉郷となります。途中「池月」からは国道457号~国道398をハシゴして、栗原市からは国道4号を南下開始。

昨日の夜眺めていてふと気が付いた、ツーリングマップルに載っていた日本三大善光寺の一つ「奥州善光寺」へやってきた。三大ってのは文字通り受け止めてはいけないらしい。携帯で撮った写真をツイッターで送った写真をダウンロードしたので、写真のサイズまでもが小さめだ(汗)

こうなってくると、もう一つはどんなお寺さんなんだ?と気になるのでググった所…埼玉県は川口市にあるらしい。結構近いので行くのは確定なんだが…「3ヶ所巡ったら願い事の叶う確率UP特典有り!」とかやって欲しいなぁ(笑)

この後も国道4号を南下しまして、宮城県大郷町にある「道の駅 大里」でちと休憩。朝飯代わりに「茹でとうもろこし」に噛み付いたりなんかして、幸いな事に被害が少なかったという事を聞いている宮城県の観光名所松島へ向かいます。

松島に着いてバイクを駐めた後は、かなり久々に「がっつり松島観光」開始です。もしかしたら10年ぶりとかなのか?(汗)小島をつなぐ、海の上に掛かる橋を渡りまして…五大堂へ。

部分的に被害は受けているものの、五大堂はご覧の通り無事でした。この一帯、海沿いの低地ではあるものの、地形的にリアス式では無かった事が幸いしているのかも。残念ながら海沿いの半数以上の土産物店等が浸水などの被害を受け休業中ですが、再開を果たしているお店も続々と増えているようですので、遊びにいってもお土産買ったりお昼を食べたりするのに困ったりなんて事は有りませんのでご安心を。

そして五大堂からは「松島島巡り」の大型観光船が「ピュ~っ」という高めの音程の汽笛と共に出港していくのが見えた。松島はもう、普通に来ていい場所だ。

五大堂のあとは瑞巌寺へ向かいます。初めて松島へバイクで来た時以来だから…15年ぶりとかなのかな?

カラーコーンが色んな場所にあるのは被災地故ということでご容赦を。フラットな参道の瑞巌寺、遙か昔からバリアフリーなお寺です。

実はこの瑞巌寺、本堂を「平成の大修理」という足掛け10年の修復工事中でして、予定では平成28年3月まで本堂の見学が出来ません。その代わり、通常公開される事の無かった庫裡(お寺の台所)と大書院、陽徳院御霊屋が特別公開中。

お寺の台所とはいえ、この建物自体が国宝です。国宝の建物に実際に入らせて頂いて、色々と見学しました(撮影禁止の為、写真はありません)。

大書院で公開されていた伊達正宗の位牌がもの凄く大きく、また立派だった事が印象的だったな。それから陽徳院御霊屋も、絢爛豪華な当時の姿をこの目で見る事が出来て良かった。

不勉強で大変申し訳ないんだが、こういった渋い施設?が修復されるのを見るにつけ、味わいが減ったなぁ…等と今までは思っていた。良く考えると…そもそもこの施設が作られた当時の人々にとっては、真新しい漆喰の壁、真新しい金の金具、真新しい瓦。眩しい位に輝いていたこの建物達を眺めていた当時と同じ光景を目に出来るのか。だったら修復したばかりの歴史的建造物に残念な気分を感じる事は間違ってるんだな。

   

宝物館を見学した後は「かき殻焼き」と「牛タン串焼き」を頂いたりしつつ、バイクで南下を再開で~す。

塩竃市~多賀城市では、未だに畑の上に本来有るべきではない漁船が多数有ります。そして国道6号の東側には、今年の米作りを諦めた田んぼが多数見受けられます。主を失った田んぼなのか、塩害の関係で耕作出来ないのかは自分には正直分かりません。…でも、本来青々とした苗が植えられているべき場所であろう事位は俺にも分かります。

~写真はありません~

南下すること2時間程で、福島県の「道の駅 そうま」へ到着。立ち入り禁止区域の南相馬市まではあと15キロ程。

   

 朝から「茹でとうもろこし」しか食べていないので…「浜塩ラーメン&ほっきコロッケ」を注文。お味を真面目に語る事はしませんが、塩ラーメンとして素直に旨かったです。ほっきコロッケは、ホッキ感たっぷりな具がいいです。何と言っても注文を受けて揚げ始めるので揚げたてです!

この後は、福島原発の立ち入り禁止区域を避ける道選びになる訳なんですが…結果から言いますと、原ノ町から県道12号線&国道399経由の迂回路しか6/26時点では存在しません。それ以外の福島原発近く側への県道は、災害基本法だったり冬季封鎖中だったりで走れません。だったらもっと早くから6号の看板に書いておいて欲しかったな。結局1時間半程、南下するルートを探して南相馬市内を彷徨ったよ…(汗)

そんなこんなで凄まじく大回りな迂回路を駆け抜けて…日立のアパートへ戻ってきたのは20時過ぎ。今回のプチ東北ツーリング、やっぱり常磐線と国道6号が南北に分断されているのは異常な事なんだと改めて気が付いた。

この事はただ祈るべきなのか…それとも貴い経験とすべきなのか…。今の俺にはまだ良く分からない。取り敢えずは走るしかないだろうな。

こちらは今日のGPSログ。避けた訳ではなく…近づく事自体が許されない場所が我々の暮らす国、日本に存在している。その距離を今回身をもって理解した事だけは確かだ。

避難範囲は半径20キロ。人々を引き離している距離は高々40キロだとでも思っているのか?俺達は?