浅草でのんびり目覚めた後は、つくばエクスプレスに乗り込んでKEK(高エネルギー加速器研究機構)の一般公開見物へっ!
ただ…昨夜読んでいた「つくばエクスプレスの広報誌」に載っていた「ORANGE」というお店のフルーツワッフルなるものが物凄く旨そうだったので、まずは南流山駅で一旦下車。
駅の外は物凄い大雨ではあったが、幸い駅から徒歩1分の距離だったので何とか駆け込んでフルーツワッフルとアイスコーヒーを注文。
待つ事数分でお目当ての品が到着。それでは頂きま~す!
むひょ~っ!これは旨いわ!(←超甘党)
甘いワッフルの上にフルーツが載り、その上にアイスクリームが載り、更にその上にストロベリーソースが載っているという…
まさに朝飯代わりとして最強の一品!(爆)
お洒落な店内で、食べ終わったお皿をペロペロ舐めたい衝動からは何とか逃げ切りまして、再びつくばエクスプレスで北上再開。
TXつくば駅でも凄まじい雨に出迎えられまして…(涙)本日の会場となるKEK(高エネルギー加速器研究機構)へ向かう無料バスに乗り込んで20分程で会場へ到着。タイミングの良い事に丁度雨が止んだので、まずは食堂脇のカフェテラスにて昼飯を。
今回はカレーを頂きましたっ!(だから導入部分が長すぎだっつうのっ!)
7月末に東海村のJ-PARCで行われた一般公開の本部がこちらKEK(高エネルギー加速器研究機構)でして、J-PARCの施設の解説も充実してました。というか、パネルや各種機器を紹介出来る教室的な場所が沢山ある関係か、解説という意味ではこちらの一般公開の方が充実しているかもですね。それにパンフレット類も盛りだくさん。これはどちらか1ヶ所では無く、両方見学するのが良さそうだ。
J-PARCの施設について更に学んだりしながら、3号館屋上の展望台からKEKの施設の全体像を眺めたりして(残念ながら大雨が降ってきたのでまともな写真がありません…)次に向かったんですが…途中この一般公開の良い意味でのユルさがこちら。
立入禁止エリアへの区切りとして使われているホワイトボードには、恐らく研究者の方が書いたであろう板書が消されずにそのまんま残っていたりしてました(笑)もちろん内容なんて全く分かりませんが、研究者の方々の日常が垣間見えるようで楽しいです。
展望台の後は放射線科学センターへ。こちらは施設全体の安全という意味合いと、研究者の方々を放射線の被爆から守る(管理する)方々から色々とお話を伺う事が出来た。
写真は日本人宇宙飛行士の皆さんが宇宙に行く際に身につけて、被曝量を計測する為のPADLESドシメーターといういわゆる線量計。
宇宙空間で浴びる放射線(宇宙線)は地上と異なり「粒子線」という質量を伴うものが非常に多い為、一緒に展示されていたALOKAのサーベイメータ等で値を計っても意味が無いそうな(あくまでも「宇宙空間」での話です)。その為、プラスチックに「粒子線」が衝突して傷を付けた具合を測定する事で被曝量を算出しているそうでして、予め試料に人工的に粒子線をぶつけた結果と比較する事で算出しているとの事でした。なるほどなるほど…
こちらがそのPADLESドシメーターの拡大写真。丸い点みたいなのが粒子線の通過した跡でして、その大きさや数などで種類や被曝量を計算しているそうだ。
観測対象を可視化するという意味において、根底的なアプローチってのは規模の大小は色々あれど皆同じだという事が何となく分かってきた気がするよ。
こちらは全長400メートルの直線上に設置されている電子陽電子入射器の制御室の様子。何台ものコンピューターで全体を制御をしているが、ある時期から有名なOSで運用を開始した所…OS自体の安定性由来のトラブルが頻発して苦労したそうな。この場で具体名を挙げるのは止めときますが、お気持ち良く分かりますです(笑)全ての制御を機械任せにする事は出来ない(必ず人間が直接コントロールできる手段は持っておく)と力強く仰っていたのが印象的です。確かにそうだよなぁ。
こちらが地下に設置されている電子陽電子入射器。とにかく真っ直ぐです!(当たり前)
こちらは「大電力高周波源」と呼ばれる、電子陽電子入射器の電源に相当する部分。家庭用電子レンジに入っているマグネトロンの超強力版という事でして、その威力たるや家庭用電子レンジ1万台分に相当とな(数字に若干の不安が…)。
ま、コンビニにもあったら宇宙刑事ギャバンが蒸着する時間で弁当をチンできるね(アホ)
こちらは「フォトン・ファクトリー」という、先程の加速器で作られた放射光(レントゲン撮影で使うX線の強力な奴と言ったところかな?)を使って各種観測をする施設。通常の光では見えない物を観測する為の施設でして、一直線にやってくる放射光をそれぞれの施設が使う関係で扇状の配置になってます。
こちらの装置は放射光を使って、電子顕微鏡を使ってもボヤッとした映像しか得られない分子の配置(ここでのターゲットはアミノ酸などから構成されるタンパク質)を3D化する装置。マンツーマンで説明員(研究者)の方に説明して頂いたこともあり、かなり理解度が深まった(…と俺自身は信じている)。丁寧な御説明有り難うございました!
そしてこちらは「KEKB B加速器」。加速器というと円環状の巨大施設をイメージされる方も多いと思うが、この右側の緑色の部分がその円環状の部分で、左上方からやって来た電子・陽電子がここで合流しまして…
最終的にこの巨大な「Belle測定器」という装置の真ん中で電子と陽電子を衝突させた時に出来る中間子の振る舞いを観測し、小林・益川理論の正しさを実際に証明した事によって両氏にノーベル物理学賞が贈られることとなったのでありました。小林・益川理論の詳細については…
…もう疲れたので誰かに聞いて下さい…(爆)
最後はこちら、ILC加速器と呼ばれる実現待ちの加速器の御紹介などを。ILCとは「International Linear Collider」の略でして、国際リニアコライダー(直線衝突型加速器)という意味です。写真は「クライオモジュール」という一組のモジュールでして、この装置を珠々繋ぎに繋いでいきます。ちなみにどれ位の直線の長さを予定しているかと言いますと…
何と全長30km!完成しても徒歩じゃ見学できねぇよっ!(そこかよ…)
ぱっと見、潜水艦の一種のような雰囲気も漂いますが、内部には「超伝導加速空洞ユニット」が収まってます。
この数珠みたいなものが、中に入っている超伝導加速空洞。それなりに歳を食った方なら「バナナで釘が打てる-30度の世界でもこんなに滑らか!」というCMでお馴染みの「エンジンオイル モービル1」でも多分凍るだろうという絶対温度2度という極低温で超伝導状態になった加速空洞に、1.3GHzの高周波を与える事で加速器として機能するそうだ。
表皮効果によって殆ど全ての電流が極薄い表面部分にしか流れない為に表面の凸凹は御法度だそうでして、メッキとは真逆の「電解研磨」という手法で鏡面化を図っているそうだ。職業柄、部分的にではあるが内容を理解出来るあたりが嬉しいな。
「クライオモジュール」1モジュールで幾ら位するんですか?と率直に伺ってみた所…「え~っと…今の所、超伝導加速空洞一本だけで約1000万円です。」
ぎょぇ~~~っ!(日本円)
ただ、あくまでも試作レベルの現時点での金額だそうでして、量産して価格を1/10には抑えたいとの事。そんな訳でこの施設は量産化の研究も平行して進めている関係も有り、大量のシーケンサーがあったりする工場のような風景なのでありました。
それにしてもKEKといいJ-PARCといい、規模もでかいがロマンもでかい施設だよな。しかも大きな話(装置)になればなるほど…「我々は何故この世界に存在しているのか?」という根源的な話に繋がる辺りがたまらんよ。俺も頑張ろうっと。
KEKの皆様方、有り難うございました!